レンタルあやちゃん始めました

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ツレが盲腸になりまして。(ショートショートその⑤)

 

最近、ツレの様子がおかしい。

 

ツレは真面目な性格で、どちらかというと慎重で冷静なタイプだ。あまりはしゃいだりもしない。クールだ。

そして筋トレが大好き、筋肉の塊のような人。仕事は現在、自宅で夢だったパーソナルトレーナーをしている。

 

7月に籍を入れたばかりの私たちは、お互いのことを【ツレ】と【ヨメ】と呼び合う。

 

ツレと知り合ってまだ実は1年も経っていない。

ツレの猛烈なアタックにより今年の1月から付き合うようになり、最初は興味もなかったが、今ではツレの存在は私にとってなくてはならないものになっている。

心の支え。

 

一緒に暮らし始めて約1ヶ月、事件が起きた。

夜いつものようにイチャイチャして眠りについて、朝起きたらツレが腹痛を訴えてのたうちまわっているのだ。

なんで?!なんで?!セックスのしすぎかな?!そんなわけないか、と静かに突っ込みを入れて、救急車を呼んだ。

盲腸だった。

緊急手術を受け、自宅に戻ってきたツレ。

 

ツレが無事に戻ってきてくれて、嬉しい。とても嬉しい。

だけど彼は、盲腸と共に何か大切なものを失くしてしまったようだ。

性格がもう、前と180度違うのだ。

突然踊りだすし、オネエ言葉で話すし、とにかく明るくなって別人なのだ。

 

良く言えば明るい、悪く言えば軽い。

最近の口癖は、

「ヨメ、養って〜〜」だ。

 

幼稚園児のように足をバタバタさせて転がるツレを見て私は時々不安になる、彼はこのままで大丈夫なのだろうか。真剣に考えてみた。

 

盲腸には、体の中の悪いものが溜まるらしい。

ツレは少し、考えすぎてしまう節があった。

きっとツレの不安や迷いや心のもやもやした黒いものがぜんぶ盲腸に溜まって、限界になって、痛くなったんだ。

 

そう思うと、これがもしかしたら本来のツレの姿なのかもしれない。

本当はずっとこんなふうに陽気に生きたかったのかもしれない。ずっと自分を押し殺していたのかもしれない。そう考えたら、涙が止まらなくなった。

ツレ、今までよく頑張ったね、これから2人でどんなことがあっても乗り越えていこうね、、、!

私はどんなツレも愛して、受け止めよう。

 

そう決意したときツレがスッポンポンで風呂から出てきて、私の泣き顔を見て言った。

 

「どうしたの?おなかすいたの?アイス食べる?」

 

「は?」

 

「冗談じゃ〜ん、ごめんて〜いっしょにアイス食べよ〜」

 

やはり彼は、大切なものを盲腸と共に置いてきてしまったようだ。

 

それでもツレが元気にそばで生きていてくれることが、私は嬉しい。

だけどもしかしたら私も近いうち盲腸を取ることになるかもしれないと、美味しそうにアイスを食べるツレを見ながらそっと思った。

 

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